はじめての刑務所体験記

図書工場へ

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■ 図書工場へ転業


刑務所体験記 図書工場

配役されて5ヶ月ほどたった頃、また転業になった。
今度は図書工場へ移ることになった。
工場も変わるので、舎房も移動しなければならない。
図書工場は天国だった。
他の工場と違い処遇部門の管轄ではなく、教育部門の管轄なのだ。
人員は3人しかおらず、担当のオヤジも面白いオッサンだった。
交談したり席を立つのも一々許可を取る必要はなく、普通に仕事をしていれば問題ない。
その上、暇なときには工場内にある特別官本を自由に読むことも許可されていた。
本当はだめなのだろうが、多少なら仕事に関係ない話をしながら仕事をしていても怒られることはなかった。
担当のオヤジは覚せい剤教育の担当もしていたので、週に2度教育のある日は2~3時間工場に刑務官がいない状態があった。
また、配本や新聞配達のときも全員は行かないので、工場で一人で留守番なんてこともよくあった。
他の工場では絶対にありえないことだ。
間違いなく刑務所で一番優遇された工場だった。
仕事の主な内容はパソコンを使って、官本と私本の管理をすることと新聞の配達だ。


■ 官本

官本には、「工場官本」と「特別官本」がある。
工場官本は約300冊の漫画と小説を各工場に置いてあり、これを定期的に回収して次の工場へ廻す。
各工場の官本は定期的に新しいセットと入れ替わることになる。
回収した際、リストに合わせて冊数の確認と破損箇所の修理をする。
各工場では全員毎日1冊(金曜日は3冊)本を借りて帰ることができるようになっている。
本はかなり揃っていて、新しい本も多かった。
私はワンピースやナルトを刑務所に来て初めて呼んだ。

特別官本は、小説以外の単行本や辞書、旅行雑誌、料理本など主に勉強になるような本が揃えてある。
こちらは図書工場に備えてあり、月に2冊まで借りることができる。
るるぶ等の旅行雑誌と料理・菓子本が最も人気があった。
特別官本は各工場からまとめて希望が出されるので、揃えて配達に行く。


■ 私本

私本には、「購入」と「差し入れ」、それに入所の際持ち込んだ「携入」がある。
それぞれが判るように閲覧許可証を発行して配本をするのが仕事である。

本は月に週刊誌なら4種類まで、単行本や月刊誌なら6冊まで、合計6種類を超えない範囲で購入できる。
月に2度、願箋(願い事の申請書)を書いて申し込みをしてもらい、届いた順に許可証を貼り週に2回配本日に届ける。
エロ本、漫画、小説なんでも購入できるが、検閲で許可が出ない場合もある。
その場合は、強制的に領置されることになり、出所まで見ることはできない。
勿論、料金は支払わなければならない。

差し入れは面会に来た人が差し入れてくれるか、郵送による差し入れがあり、直接窓口で差し入れる場合は一度に12冊までしか受け付けてくれない。
郵送の場合は多少多くても送り返せないのでしぶしぶ受け付けてくれるようだ。

携入は新入が来たときにまとめて入ってくるが、人によっては2~300冊の本を持ってくる場合があるので、そんな時は忙しくなる。
普段はあまり忙しい工場ではないが、入荷が多い日と配本日だけは多少忙しかった。


■ 新聞の配達

刑務所では、各工場やグランドに官の新聞が備えられている。
舎房では、工場の新聞を持って帰り一人当たり10分間だけ交代で読むことができた。
また、希望すれば個人で新聞を購読することもできる。
その場合は私物なので翌朝まで自分で保管できる。
スポーツ新聞を購読している者が結構いた。
新聞は毎朝各工場を廻って配達する。
朝の散歩だ。

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